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浦和地方裁判所 昭和37年(ワ)366号 判決 1964年3月04日

第三六六号事件原告 本多幸徳

第三六六号事件被告 小宮儀一

第五一号事件原告 渡辺牛之助

第五一号事件被告 山崎はる 外一名

主文

原告等の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告等の負担とする。

事実

(昭和三七年(ワ)第三六六号)

第一、当事者の申立

原告

一、主たる請求

「被告は原告に対し、金二、九三九、一七一円及びこれに対する訴状送達日の翌日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言。

二、予備的請求

「被告は原告に対し、金五八七、八三四円を支払え」との判決。

被告

主文同旨の判決。

第二、主たる請求の請求原因

一、本件土地転用転売の事実

(一)  別紙目録<省略>記載の(1) ないし(10)の土地(以下本件土地という)はもと原告の所有であつたところ、訴外埼玉県知事は、昭和二二年一〇月二日、自作農創設特別措置法(以下自創法という)第三条に基いてこれを原告から買収し、同日同法第一六条に基いてこれを被告に売渡し当時本件土地は、埼玉県川口市大字芝字五丁目二、八〇四番、田四畝二二歩と同所二、八〇五番、田九畝九歩、計一反四畝一歩であつたところ、被告はこれを宅地として転用転売しようとの意図の下に、結局昭和三六年一〇月一七日別紙目録のとおり二、八〇四番の一ないし一〇の約三~四〇坪程度の住宅向土地に分筆してその登記を了した。

(二)  被告は、同月二三日、同年一二月二四日及び昭和三七年一月二四日の三回に亘り、右一〇筆の土地を別紙一覧表のとおり、訴外岡長英等に住宅建築用地としてそれぞれ売渡した。

(三)  被告が右一〇筆の土地を訴外人等に売渡して得た代金は、坪当り金七、〇〇〇円の割合であるから、一反四畝一歩(四二一坪)で計二、九四七、〇〇〇円である。

二、不当利得

(一)  右代金のうち、次のとおり、二、九三九、一七一円については、後記第三の理由により、法律上の原因なくして被告が不当に利得し、原告は同額の損失を受けたものである。

(二)  本件土地の買収及び売渡の代金は一、〇二九円六九銭(反当り七三七円五〇銭)であつた。日銀卸売物価指数は、昭和九年ないし一一年を一〇〇とした場合、昭和二二年(本件土地買収当時)は四、八一五であり、同三六年及び三七年(同転売当時)は各三六、八四一及び三六、六八一であるから、本件土地の農地としての価額は計算上昭和三六年では反当り五、六一二円(坪当り一八円七一銭)、同三七年では反当り五、五六七円(坪当り一八円五六銭)となる。よつて本件土地一〇筆につき、その転売年度別に被告が転売によつて得た代金の総額から、被告が本件土地の売渡を受けた当時政府に支払つた代金を前記物価指数に応じて換算したものを差引くと、金二、九三九、一七一円となる。これが被告が本件土地を転売したことによつて不当に利得した金額である。

三、よつて原告は被告に対し、右金員とこれに対する訴状送達日の翌日から完済に至る迄年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第三、創設農地の転用、転売と不当利得

一、解除条件成就又は信託関係消滅による所有権の復帰

(一)  自創法及び農地法(以下自創法等という)は、農地はその耕作者自らが所有することを最も適当であると認め、自作農を急速かつ広汎に創設し、土地の農業上の利用を増進し、もつて耕作者の地位の安定と農業生産力の増進をはかることを目的として、農地をその旧所有者から強制的に買収し、これを小作者その他命令の定める者で自作農として農業に精進する見込のある者に売渡すべき旨を定めている。この立法目的からすれば、農地が農地としての機能と性質を失い、新所有者において当該農地を耕作以外の目的に使用して農地適格性を失つたことを解除条件とする趣旨のものである。従つて右の解除条件が成就するときは、当該農地の売渡処分及び買収処分はともに法律上当然に解消し、その所有権は旧所有者におのずから復帰するものと解さなければならない。

(二)  その根拠の一つとして日本国憲法第二九条第三項をあげることができる。この規定の精神とするところは(イ)一方積極的には一定の公共目的達成のために国は正当な補償のもとに国民の私有財産を収用することができるという意味を示すとともに、(ロ)他方消極的には国民は公共目的以外にはその私有財産を収用されないとの保障を意味し、従つて、私有財産に加えられる収用処分はその収用目的の存続を以てその存続要件とする、いいかえると収用目的の喪失を以て解除条件とする旨の保障をも意味するものでなければならない。けだし、国民が公共目的の他にはその私有財産を収用されないということの保障の主意は、一度収用された財産は単に収用時においてのみでなく将来も当該公共目的のために用いられることを条件としてこそ生かされるのであり、又私有財産権の剥奪は公益上やむを得ない例外の場合に限られるのであるからこれを厳格に解釈すべきであつて、あらゆる機会と可能性を捉えて絶えず原則的状態への復帰を要求するのである。従つて一度収用された私有財産について、後日当初の収用目的が消失するに至つた場合にはこれを解除条件として、直ちに、即ち何らの立法又は行政処分を要せず先の収用処分が当然解消されるものと解さなければならない。

(三)  右の結論は農地の買収に伴う所有権移転の法的性質からも明らかにすることができる。即ち、前記自創法等の精神から考えて通常の権利移転ではなく、信託的譲渡とみなければならない。従つて農地の権利移転は、旧所有者対国、国対新所有者の間の信任関係を基礎とし、国は旧所有者に対し又新所有者は国に対し、その譲受にかかる権利を行使する上に或る一定の債務、即ち当該農地を常に農地として使用し耕作し、以て農業生産力の増進のために寄与するという債務を負うのであり、もしこの債務に違背した結果、当該農地が宅地となり農地としての機能と性質を失うに至るならば、右の信託的権利関係はその目的を失つて消滅し原信託者である旧所有者が全面的に当該土地に対する所有権を回復することになるのである。

(四)  上記法理により原告は本件土地の所有権を回復するに至つた。よつて被告が転買によつて得た代金のうちの前記金額は、法律上の原因なく原告の財産により利益を受け、そのため原告に対し右金員と同額の損失を及ぼしたものである。

二、優先買受権ないしはその期待権の排除

(一)  かりに前記一、の主張が認められないとしても、創設農地が農地としての機能と性質を喪失したときは、旧所有者は当該農地について優先買受権或いは少くともその期待権を取得するものと解すべきである。その根拠として、自創法第二八条、農地法第一五条第一項、第一六条、第八〇条及び信義誠実の原則をあげることができる。

(二)  自創法第二八条によると、同法第一六条に基いて農地の売渡を受けた者が当該農地の自作をやめようとするときは、政府はその者に対して当該農地を買取ることを申入れなければならず、その申入により当該農地の売買が成立し、又政府は右買取りにより取得した農地を遅滞なく自作農として農業に精進する見込のある者に売り渡さなければならないとされていた。右によると新所有者は当該農地の政府による強制買取を受忍しなければならず、これを他に転用、転売し得ないという拘束を受けるのである。この政府の創設農地買取権の法理は現行農地法第一五条においても全く同様と解さなければならない。同条は創設農地等をその所有者及びその世帯員以外の者が耕作又は養畜の事業に供したときに政府がこれを買収するというのであるから、所有者等が耕作をやめようとし、或いはやめた場合も当然政府の買取権が発生するものといわねばならない。

(三)  又農地法第八〇条は、特定の公共目的に基いて強制収用された物件が後日不用に帰したときはこれを被収用者に返還すべきであるという原則(例えば土地収用法第一〇六条)に基いて、利用目的を転換した買収農地等は原則としてこれを旧所有者に返還する途を聞いている。即ち、同法第七八条により国が買収し農林大臣が管理する農地等について、自作農の創設又は土地の農業上の利用の増進の目的に供しないことを相当と認めるときは、これを売り払う等の処分ができ、この売り払うべき農地等が同法第九条、第一四条第四四条に基いて買収されたものであるときは、その農地等を旧所有者に売り払わなければならないとされている。従つて政府はこれを旧所有者に売り払う義務があり、旧所有者はその優先買受権を有するのである。尤も、農地法施行令第一七条、第一八条によると、一定の場合には旧所有者に売払の通知をしない、即ち優先買受権が認められていないけれども、買収農地を一旦自作農の創設又は自作農の経営の安定の目的に供したか否かに区別なく旧所有者に優先買受権を認めることが、土地収用法第一〇六条と対比しても、公平であり当然である。

(四)  右農地法第一五条、第八〇条に所謂政府の買取権、旧所有者の優先買受権の法理は、創設農地の転用、転売一般について全面的に類推適用されるべきである。このことは公権力の行使全般を支配する信義誠実の原則の要請するところである。国民の財産権を強制的に剥奪する処分を伴う自作農創設制度の実施においては、とりわけ制度の趣旨に従い信義則にしたがつてその権限を行使すべきである。他方新所有者の側においてもあくまで農地として耕作すべき拘束を受けるのは信義則上当然である。

(五)  ところで被告は前記のとおり本件土地を転売したが、公平の理念に鑑みてその利得を被告に保留させる正当な理由若しくは権利がない。被告の得た利益は、原告が優先買受権に基いて当然取得すべき本件土地を他へ転売したことにより自己に帰属させたものであるから、原告は右金員に相当する優先買受権(ないしはその期待権)の喪失という損失を蒙つたものである。

三、旧所有者の同意

(一)  創設農地は自作農者が当該農地を農地としてのみ使用するという利用制限のもとに設定された限定的用益物権を内容とする。従つて農地外への用益及び処分の権利は依然として旧地主のもとに潜在的に残存し、いわゆる「上地権」と「底地権」との関係において両者に分属しているものと解すべきであるから創設農地の農地外への転用、転売については底地権者である旧所有者の同意を得てはじめてなし得ることである。

(二)  右の法理を基礎として、創設農地の転用、転売については自然発生的に旧所有者の同意を得てこれをなし、且つこの同意の対価として相当額の金員(いわゆるハンコ料)を新所有者から旧所有者へ支払うものとするとの通念を生じ、多くの市町村農業委員会においては旧所有者の同意である転用許可申請に限りこれを許可するとの行政指導がなされて来た。よつて被告が本件土地を転売した当時、創設農地を転用、転売する場合には旧地主の同意を得ることを必要とし、且つ同意の対価として相当額の金員を支払うことの慣習は既に法的確信の程度に達していたものである。しかるに被告は原告の同意を得なかつた。

四、正義衡平の原則違反

前記転売利益を独り被告の手に収めさせるのは利益の配分において不公平であることは明らかである。かような不合理、不公平は正義衡平の原則に反するものであり、結局被告は原告の損失において不当に利得したことになる。

第四、予備的請求の請求原因

一、かりに主たる請求が認められないときは次のとおり主張する。主たる請求の請求原因第二の一、のとおり被告は本件土地を訴外人等に転用転売した。

二、主たる請求の請求原因第三の三で述べたとおり、創設農地につきこれを農地外の目的に転用、転売するについては、旧所有者の同意を必要とすること且つその同意の対価(いわゆるハンコ料)として相当額の金員を旧所有者に支払うべきところ、右ハンコ料の額は転売土地の立地条件の良否に従つてその転売価額の一割ないし二割である。原告は右法理に従つてここに被告の本件土地転売に同意し、この同意の対価として、本件土地の立地条件が良いことを考慮し、被告に対し転売による利益の二割に相当する金五八七、八三四円の支払を求める。

第五、被告の答弁

原告主張事実のうち主たる請求原因第二の一の事実は認める。その余はいずれも争う。

(昭和三八年(ワ)第五一号)

第一、当事者の申立

原告

一、主たる請求

「被告等は原告に対し、被告はる七分の五、同貢七分の二の割合をもつて、金一二、二九九、六二五円及びこれに対する昭和三八年三月四日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告等の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言。

二、予備的請求

「被告等は原告に対し、被告二る七分の五、同貢七分の二の割合をもつて、金二、四五九、九二五円を支払え」との判決。

被告

主文同旨の判決。

第二、主たる請求の請求原因

一、本件土地転売の事実

(一)  埼玉県北足立郡朝霞町大字台字街道向一、一四六番二、畑一反七畝二五歩(以下本件土地という)はもと原告の所有であつたが、昭和二二年一〇月二日自創法により国に買収され、被告等の先々代山崎善右エ門に売渡され、結局被告等において本件土地を共同相続し(その持分はる七分の五、貢七分の二)た。

(二)  その後昭和三六年七月一七日、被告等は本件土地を富岡九内に譲渡した。

(三)  しかし富岡は本件土地を耕作したことなく昭和三八年一月一七日、農地法第五条の許可を得て富士陸運株式会社に譲渡した。

(四)  右の経緯を経て被告等から富岡へ売り渡すことによつて被告等の得た代金は、坪当り二三、〇〇〇円であるから本件土地一反七畝二五歩(五三五坪)につき一二、三〇五、〇〇〇円である。

二、不当利得

(一)  右のとおり、被告等が本件土地の農地としての機能と性質は失わせた結果、前件において述べたとおり、同時に原告は本件土地の所有権を回復するに至つた。

(二)  かくして、被告等が本件土地を富岡へ転売して得た代金のうち、次のとおり一二、二九九、六二五円については、法律上の原因なくして被告等が不当に利得し、原告は同額の損失を受けたものである。

(三)  本件土地の買収及び売渡の代金は七二七円六八銭(反当り四〇八円、坪当り一円三六銭)であつた。これを前記日銀卸売物価指数によれば昭和三六年では五、三七五円である。よつて被告等が本件土地を富岡へ転売することによつて得た代金一二、三〇五、〇〇〇円から、被告先代が本件土地を政府から売渡を受けた際支払つた代金を前記物価指数に応じて換算した金額五、三七五円を差引くと一二、二九九、六二五円となる。すなわち、本件土地の持分に応じ被告等が不当に利得したことになる。

三、よつて原告は被告等に対し、右金員と、これに対する訴状送達日の翌日である昭和三八年三月四日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第三、予備的請求の請求原因

一、かりに主たる請求が認められないときは次のとおり主張する。

二、原告は前件において述べたとおりの理由により、被告等の本件土地転売に同意し、この同意の対価として、本件土地の立地条件が良いことを考慮し、被告等に対し、本件土地転売による利益の二割に相当する金二、四五九、九二五円につき前同様割合の金員の支払を求める。

第四、被告両名の答弁

原告主張事実のうち、主たる請求の請求原因第二の一は認める。但し富岡が耕作したことがないとの点は否認する。その余はいずれも争う。

(証拠関係)<省略>

理由

一、もと原告等の各所有であつた本件土地が自創法第三条により国に買収され、同法第一六条により各被告等(或いは被告等先代)に売渡されたこと及び被告等が原告等主張のとおり本件土地を他へ転用転売(或いは転売)したことはいずれも当事者間に争いがない。よつて原告等の不当利得の主張について判断する。

二、創設農地の転用転売と旧所有者への所有権の復帰

(一)自創法第一条に明らかなとおり、自作農の創設は、耕作者の地位を安定し耕作者に労働の成果を公正に享受させることによつて、農業生産力の発展特に農村における民主化を促進することを窮極の目的としてなされたものである。そうして、この目的を達成するためには従来農村の民主化と農業生産力の発展とを阻害して来たもの、即ち地主的土地所有を除去することが急務であつた。なぜなら、我が国農村において、この地主的土地所有のもとに、小作人が長年月に亘り常に地主の土地取り上げにおびえ、高率小作料の負担その他極めて不利な小作条件に苦しんで来たこと、いいかえると小作人の地位が極めて不安定でありその労働の成果を十分に享受し得なかつたこと、その結果としてこのような地小作関係が農業の近代化を阻害し、半封建的村落秩序を維持する最大の原因となつて来たこと(以上は顕著な事実である)等から、地主的土地所有形態を根幹から解体し、土地を小作人に分配すること、文字どおり「農地改革」または「農地解放」の必要に迫られたことによる。

農地法第一条が、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認め、耕作者の農地の取得を促進し、その権利を保護する旨を規定したのもまた異別の趣旨からでない。

この観点からすれば、自創法が農地の買収売渡の効果としての所有権の移転につき何らの留保条項を設けなかつたことも当然であり、いわゆる創設農地が再び旧所有者の手に復帰することは、もともと自創法の予期するところではないといわなければならない。このことは、同法第二八条において新所有者が創設農地の自作をやめようとするときは政府がその買取申入れの義務を負い、その申入れにより売買が成立して政府が当該農地所有権を取得する建前となつていることからも充分窺えるところである。

(二)  なお、原告は、創設農地の買収及び売渡処分が解除条件付であることの根拠として憲法第二九条の趣旨をあげている。同条が、公共のため以外には私有財産権を侵害することはできない旨の保障を意味することは原告所論のとおりであるが、このことは直ちに解放農地が農地でなくなつた場合当然に旧地主に復帰することの根拠とならないことは農地改革の前記根本精神に照し多言をついやすまでもない。(土地収用法第一〇六条を類推適用できないこともまた同じ考方に基づく。)旧地主に復帰せしむべきか否かは所詮立法政策によるというべきである。

三、なお原告等は旧所有者の優先買受権、あるいは正義衡平の原則等種々の視点から立論しているが、何れも独自の見解としたやすく採るを得ない。

四、創設農地の転用転売の際旧所有者の同意を要するとする慣習法の存否

成立に争いのない甲第二号証の一、二、及び証人石村英蔵、矢作光雄の各証言、原告本多幸徳本人尋問の結果を綜合すると、埼玉県川口市及び蕨市方面においては、新所有者が創設農地の転用、転売の許可申請をするに際し、あらかじめ旧所有者から当該土地について将来紛争を起さないことを確約する旨の市町村農業委員会宛の同意書ないし承諾書を受け取り、これを添付して許可申請をしたこと、その際多くは同意料ともいうべき金銭の授受が行われていたことは認められるが、この取扱が慣習であることの証拠はない。いわんや法的確信に迄達していたとの点についても、これを認めるに足りる証拠がないから、この点に関する原告等の主張も採用することができない。

六、以上のとおりであつて原告等の不当利得の請求はその前提においていずれも理由がないことに帰するから、その余の点について判断するまでもなく失当として棄却を免がれない。

七、そこで予備的請求について案ずるに、原告主張の慣習法の存在については前判示のとおりこれを認めることができないので、その存在を前提とする予備的請求も又失当として棄却を免かれない。

よつて原告等の請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九三条第一項本文を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 長浜勇吉 伊藤豊治 萩原孟)

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